2012.11
YARLANDは、ご案内の通り中国で立ち上がり今年(2012年)創業15周年を迎える真空管アンプメーカーです。
これまで日本では最も小型の安価なモデルが小売りルートを通じてごく少数並行輸入されただけで、正式に紹介されることはありませんでした。
中国製の真空管アンプといえばこれまで、多少の価格訴求力はあるものの、音質や品質に対する信頼性の薄さ、デザイン性の低さ、仕上がり精度の悪さなどから、日本の高級オーディオ愛好家に注目されることはありませんでした。
しかし現在では、オーディオファンなら誰でもが知っている一部の高級オーディオメーカー様などが先駆けとなって、高品質なオーディオ製品を中国に委託生産され、その評価も見直され始めています。
もちろんこのことは、ブランドに与える明確なコンセプトと、それを具体化するためのパーツの精度、厳しい製造基準や品質管理など、諸条件が整わなければ現実のものになりません。
なぜ、今、YARLAND JAPANを立ち上げ、皆さまにおすすめするのか、その理由をお話しします。
中国製真空管アンプを数々観察してきた経験から言えば、その製品の大半は、まるでお菓子の空き缶を逆さにして、真空管とトランスボックスをのせただけの外観にしか見えないものばかり。
自室に置いて、うっとりと眺めながら、「あぁ、いいもん、もってるなぁ」といった所有する喜びを満たしてくれるような優れたデザイン性を備えた製品に出会うことは少ないことです。
中国人のオーディオ愛好家にもこの「デザイン性」というものは明らかに理解されているようで、年に一度上海市で開かれる「ハイファイ・オーディオ・フェア」などで、来場者の動向を見ていても、人気は明らかにデザインされた欧米の高級オーディオメーカーのブースです。
中国浙江省温州市にあるYARLAND AUDIO社を初めて訪ねたのは、今から3年前のことですが、それまで彼らが独自に造っていた真空管アンプは、音質はともかく、その外観デザインは必ずしも我々が満足する出来ではありませんでした。しかし、彼らはそれでもヨーロッパやアメリカで一定の評価を得ていましたし、実際、現在でもコンスタントに出荷し続けています。
ただ、我々としては日本のデザイン事業者として、彼らが造っている真空管アンプをそのまま日本へ紹介することなど、到底考えられず、三年の時間をかけ日本向けの外観デザインをほどこしたアンプを完成させたのです。
そう、ご紹介するYARLAND JAPANの真空管アンプの「デザイン」は、実は日本製なのです。
オーディオ製品は、美しい音色を再生してくれさえすれば、愛好家の皆さんは満足されるのでしょうか?
真空管アンプを自作されるほどの知識と技術をお持ちの方々が、まずはじめに重視されるのは、再生能力であり音質であることは疑いのないところでしょう。
もちろんこのことはオーディオアンプに求められる必要最低限の条件であることは明らかです。
しかし、こと真空管アンプにおいては、その「佇まい」が重要な要素だと我々は考えています。そこに置かれたアンプのありさま、ほのぼのと灯る真空管そのもののかもし出す雰囲気、これこそが真空管アンプの醍醐味といえるのではないでしょうか?
YARLAND JAPANのデビューは実は、今年も10月に秋葉原で開かれた「第18回真空管オーディオフェア」へ出展させていただくことを目標にしていました。会場で皆さまに実機を見て、触れて、聴いていただき、ご意見を頂戴したいがために大詰めの作業を急ぎました。しかしそれは、叶いませんでした。最終の試作機でも満足がいかなかったためです。
このたび、ごくわずかな数量づつですが、安定した品質のアンプをご案内できる状態が整いました。また、実機をご覧いただくためのデモスペースも計画中です。その間は、お客様へはデモ機でお試し頂くよう準備いたしました。メールでのお問い合わせをお待ちしております。
ぜひ、その仕上がりと、音質を体感なさってください。